こべるん ~変化していく神戸~
姫路

地域探訪-整備の完了した姫路・大手前通りと駅前ターミナル

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JR姫路駅の再開発によって駅ビル「piole(ピオレ)姫路」が開業した際に訪れて以来、2年以上ぶりに姫路を訪問してきました。2年前の記事の最後に「今後も当ブログでは姫路の状況を定期的に追って行こうと思います。」と結びましたが、まさか2年のインターバルを空けることになってしまうとは思いませんでした。ようやく念願叶って姫路を訪れてきました。

6年にも及ぶ「国宝姫路城大天守保存修理工事」によって真っ白な姿を取り戻した白鷺・姫路城も姫路の街に再び美しく異彩を放って君臨していました。

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中央コンコース前の眺望デッキは大手前通の向こうに姫路城を見据える絶景ポイントとして建設されました。最初の写真はこのデッキから撮影した世界遺産・姫路城です。

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デッキ内には格子状に組まれた木の間から木漏れ日のように柔らかい光が降り注ぎます。

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デッキは通路部分も日除けがあり、鋼鉄、木、ガラスの三要素で構成されています。

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この眺望デッキは駅ビルや駅前の各商業施設を連絡する空中回廊の結節点としての役割も果たしています。駅前広場の西側はタクシー・バスターミナルが移設されました。

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頭上をデッキが通り、大手前通りと直結したバスターミナルは広々として渋滞知らず。神戸から見れば喉から手が出る程、羨ましい空間が広がっています。

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道路の軌道上にターミナルが存在する形になっているので、流れるように次々と神姫バスが出入りしていきます。

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空間を確保できている姫路と空間に大きな制約を課せられている神戸を一概に比較はできませんが、姫路は駅前にバスターミナルを集約し、空中・地上・地下の3層構造ネットワークが綺麗な形で纏められており、駅前の回遊性が非常に効率良く高められています。

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歩行者空間を大きく拡大してトランジットモール化された大手前通り。姫路城へと続くメインストリートですが、これまでも開放的ではありましたが、更に磨きが掛かって洗練された気持ちの良い空間が生まれています。車道は最低限に狭められ、十二所前線以南は公共交通機関であるバスとタクシー以外の通行は禁止されています。

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神戸や全国の他大都市と比べれば交通量が少ない姫路駅前だからこそこうした比較的短期間でのトランジットモール化が可能になった面はあるかと思いますが、それにしても大胆な施策を迅速に取り入れて実現化した姫路市の都市計画力と行動力には脱帽です。

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これらの駅前インフラ整備+再構築は新駅ビルをはじめとする周辺の商業施設の新設・再編と併せて進められてきました。平成19年にこの整備計画素案を公開し、市民からの意見募集を経て、7年でここまでの整備を完了させました。この大規模整備を可能にしたのは姫路駅の高架化+車両貨物基地移設事業です。これには35年という気の遠くなる歳月が費やされました。ある意味、神戸での阪急の市営地下鉄乗り入れ計画に重ねて考えてみると、姫路も神戸と似たような課題を克服してきた上に現在の姿があるのではないかと思います。整備計画には市のみでなくJR西日本、神姫バス、山陽電鉄等の民間企業や地下街、商店街をも巻き込んで一体になって進められています。

神戸が姫路から学べる事はたくさんありそうですね。次回はもう一つの駅前広場であるサンクンガーデンや駅前に新設された大型商業施設についてレポートしたいと思います。



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POSTED COMMENT

  1. ひろチャソ より:

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    駅前にはまだまだ建物も開発されていていいことなんですが、建設予定のモントレが、当初の予定では姫路市初の100m建築物だったのが縮小され60m程度に変更されるらしいのが残念です。

  2. とま より:

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    姫路は本当によい再開発が出来たと思いますね。
    国宝姫路城という唯一だけど強烈なインパクトのある観光名所を活かせていますよ。


    神戸は姫路より重層的ではありますが総花的でもあります。

    ただ一つあげるとするとやはり旧居留地でしょう。
    旧居留地をブラッシュアップすると共にそこを連想させる三宮駅舎とつながりのある街区。
    このあたりにポイントを絞り切れるかどうが大事ですね。

  3. 元姫路住人 より:

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    PASS: 4a1543405f5e909be96db8af167c3417
    いつも楽しみに拝見しています。
    拝見した画像から、駅から姫路城への景観の変貌ぶりに鳥肌が立つ思いです。

    ただ、商業施設間の競争は激しく、イオン系ファッションビル「姫路フォーラス」の撤退、
    地元老舗百貨店「ヤマトヤシキ」が再建途上であることなど、
    美しい町並みに見合う商業施設に生まれ変わることを期待しています。

    神戸新聞NEXT|経済|姫路フォーラス閉店へ 競争激化、売上高も半減
    http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/201508/0008271831.shtml

    神戸新聞NEXT|経済|老舗百貨店ヤマトヤシキが経営再建 投資ファンド下で
    http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/201412/0007555864.shtml

  4. 匿名 より:

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    PASS: 23e9da76ba1097a63d65228bd106f93f
    姫路駅と周辺、綺麗になりましたね。
    姫路の皆様おめでとうございます。
    今度お城を見に行く予定なので楽しみです。

  5. map より:

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    姫路へのご訪問ありがとうございます。この日を心待ちにしていました。バスターミナルや駅前広場、トランジットモールの開放感は素晴らしいものです。とても地方都市の駅前とは思えない出来栄えです。次の記事も楽しみにしております。

  6. より:

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    関東の住人です。姫路は神戸に比べ地味な印象がありましたが、この再開発は見事ですね。

     白木を使った眺望デッキ、前面のトランジットモール、正面の姫路城。
    開発計画もデザインセンスもお見事というしかありませんね。再開発のお手本のようです。

    これからトランジトモールの周囲にカフェや商業施設ができて、ベンチ、植栽緑化が進めば市民、観光客の憩いの場になるのでしょうね。羨ましいです。

  7. sirokuma より:

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    この都市開発は、無駄なく美しく機能的に出来上がっていますね。
    姫路市長は元々、理系で建築学や都市計画が専門の大学教授だったことも大きいでしょうね。市政を担っているこの12年間で姫路城の昭和大修理、世界遺産登録など大きな仕事を成し遂げています。

  8. 匿名 より:

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     姫路が35年の眠りから覚めすさまじい再開発が進んでいることが分かりました。
     もっと言えば、姫路より先に駅再開発が完成した明石駅(山電明石駅高架)やJR加古川駅ですら、駅前再開発の面では、三宮周辺より勝っています。
     そちら兵庫西部の方々は、おしゃれな店があり県都の中心ということで三宮に大挙押し寄せて来ますが、都市のデザイン的な面で見ると、特にJR三ノ宮駅西口・阪急神戸三宮駅東口あたりのせせこましさは、いつ見ても良い気がしません。

  9. ゆんぴょう より:

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    姫路駅前は見違えるほど現代風にアップデートされましたね。
    明石も大規模な再開発が進行中ですし、三宮地区の体たらくは何とかならないでしょうか。古いビルをリニューアルして、神戸ならではのセンスで何とか持っているんですが、もう限界ではないでしょうか。
    震災直後に今のミント神戸の敷地を含む駅前の大規模な再開発計画があったとおもいますが、結局こじんまりとした復興になってしまいました。

  10. 匿名 より:

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     現在の三宮周辺は、阪急駅がネックになっています。1968年、神戸高速鉄道が開通し阪急阪神山陽神鉄が相互乗り入れを開始しました。それまで阪急阪神のそれぞれの三宮駅の他、山陽は国鉄兵庫駅前、神鉄は湊川駅止まりで、神戸に乗り入れる私鉄をネットワーク化し神戸高速鉄道という設備だけの会社を作ったのは日本初、当時としては最高の都市計画で神戸の街がすっきり合理化されたのです。でもその後、神戸市営地下鉄の開通、阪急阪神の統合と阪神山陽の直通化等、時勢の変化が生じましたが、現在の神戸中心部の骨格は基本的に50年前の1968年当時のままです。
     転じて姫路は、半世紀をかけたJR高架構想の実現により現在の再開発が実現しています。姫路駅は多くの支線や貨物駅、車両基地が集中し京都駅や岡山駅が鉄道高架を諦めている状態から考えると、高架も実現していなかった可能性もあります。もし姫路駅の高架が実現していなければ、昔のような使い勝手の悪い姫路駅で、つぎはぎやリニューアルで凌ぐ状態だったでしょう。それでも今の状態が完璧な訳ではありません。本当は山電姫路駅をもっとJRに近い地下に移す予定だったのです。結局山電姫路駅の地下化が実現せず、新設のペデストリアンデッキや既存の地下街でJRと山電をネットワーク化し、その間にバスターミナルを配して交通拠点としたようです。ちょうどJR神戸駅と高速神戸駅のような微妙な距離と、その間のバスターミナルのような感じですね。

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